「美容院が苦手」と人に打ち明けると、だいたいこう返される。
「えっ、会話苦手なん?」
……ちがう。話はできるし、むしろ饒舌に振る舞うこともできる。
必要とあらば、今流行の映画やオサレSHOPの話題にも、うっすら笑いを浮かべながら付き合える。
けれど、その代償として魂が幾分減耗する。
なぜなら、あの空間が、地味にしんどいポイントのフルコースだからだ。
「慣れれば平気」とか「良い美容師を見つければ変わる」とか、そういうことではない。
疲れる人は、何やっても疲れる。
美容院が苦手な理由7つ
私が、美容院を避けたく思う理由は、次の7つ。
- 予約がだるい
- 「オシャレ圧力」と「鏡」の無間地獄
- 会話がしんどい
- 施術中の地味なストレスが積み重なる
- 仕上げフェーズもつらい
- 3か月ぶりに行くと、怒られる
- 料金が高い
美容院が苦手な理由①
予約まわりが全般的にだるい
まず予約がめんどい。
予約後に日時を覚えておいて、時間通りに店に向かうのもめんどい。
電話で予約を取る時は「今、施術中かしらん?」と思うと気おくれする。
ホットペッパービューティーなどでネット予約する場合は、メニューやコースを自分で選ぶのがだるい。
その店特有のメニューが専門用語すぎてよくわからない感じもある。
美容院の施術メニューに並ぶ文言……
カラー、ダブルカラー、似合わせカット、骨格カット、キューティクルケアー、ツヤツヤケアーとか。
なにがどう違うのか……
なんとか予約を取って 施術時間の5分前ぐらいに店に入っても、場合によっては10分以上待たされる。
かといって、予約ナシの飛び込みだと、無限に待たされたり、追い返されたり。
遅れると施術を断られ、逆に定刻に行けば待たされる。不条理である。
美容院が苦手な理由②
「オシャレ圧力」と「鏡」の無間地獄
美容院は、なぜにあんなにキラキラしてるのか。
美容師全員おしゃれ、BGMは意識高め、おしゃれインテリア。
そして、方々に鏡、鏡、鏡。
自分の顔が多国籍軍のようにこちらを取り囲んでいる。自分という存在に囲まれて息苦しい。
しかも外から店内が見える美容室もある。
おしゃれな美容室で、おしゃれな美容師さんに髪を切ってもらっている自分が、外から丸見え。なんだか、こっぱずかしい。
気を紛らわすために雑誌を読もうにも、手が疲れる。 スマホを見ようにも、美容師から覗かれてないか気になる。
結果、座ってるだけで疲れる。
美容院が苦手な理由③
美容師さんとの会話がしんどい時がある
美容師の方との会話がまた難儀。
静かにしたいわけじゃない。
せっかく、髪のプロと話せる機会なので、ここぞとばかりに聞きたいこともあるし、話が面白い美容師さんも多い。
でも、いざ話し始めると、妙に疲れる。
「なるほど〜!それってキャンプ場はどこがオススメなんですか〜?」 みたいな謎の合いの手を入れているうちに、どんどん己のヒットポイントが削られる。
かといって、美容師さんがせっかく盛り上げようとしてくれているのに「はぁ……」「そう……ですか……」と、テンション低めに接するのも申し訳ない。
入店時のカルテで「静かに過ごしたいですか? →YES」みたいなアンケート欄を設けている美容院もあるが、ここで「話しかけないでほしい」に設定しておくのも、会話拒否してる人みたいで、やや抵抗がある。
つまり、詰み。
美容院が苦手な理由④
カット・カラー・シャンプー中の地味なストレスが積み重なる
カット・カラー・シャンプー中の地味なストレスが積み重なる
「美容院で、顧客がいちばん気持ちいい瞬間は、シャンプーのとき」という話をきいたことがある。
でも、私のような臆病者にとっては、シャンプーすら苦しい。
まずもって、シャンプー台の角度が苦手。首がへし折れそうになる。
シャンプー中の「かゆいところはないですか~?」「お湯の温度はどうですか~?」の質問も、毎度、どう答えればいいか分からない。
テンプレート回答で「大丈夫です」と答える。
このとき、首は動かさないように、かといって、シャンプー時の水音のボリュームに負けないように声を張る必要があり、むせる。
シャンプーだけでなく、カラーリングでは頭皮がヒリヒリするし、カット中は細かい毛が顔にひっついてかゆい時がある。
全部 「事件」ってほどではない――けど、小さなストレスが重なると、ひどく疲れる。
美容院が苦手な理由⑤
地味にツラい「仕上げ」フェーズ
美容院でのカット、カラーなど、すべての施術が終わると、最後に後ろ髪のチェックとし、合わせ鏡を見せられる。
美容師さん「どうですか?(笑顔)」
いや、どうって言われても……
この、完全にラストシーンの段階で「もうちょい切ってください」って言える?
結局「大丈夫です」で終わらせる。
……と、ここで終了と思いきや、ここから、スタイリング剤や髪のセットをしてくれる美容師さんがいる。
美容師さん
「今日、これからお出かけの予定はありますか?」
基本的には、髪になにもつけたくないタイプなので「予定はないです、髪はそのままでいいです」と伝えるのだが、
美容師さん
「じゃあ、ワックスだけつけときますね!」
私
「あっ……ほんと、このままでいいですよ」
美容師さん
「遠慮なさらず! 軽めのワックスにしますね!」
うーん、この。
でもって、この美容院で塗られるワックスというものは、香りがきつめのものが多いので、数時間もすると頭がグラグラしてくる。香りに酔う。
その日は帰宅後、2度目のシャンプーをするハメになり、またまたグッタリする。
美容院が苦手な理由⑥
3か月ぶりに美容院に行くと、怒られる
そんなこんなで、美容院が苦手。
苦手だから、足が遠のく。結果、3か月ほどカットもカラーもせずに髪を放置する。
すると、次に行ったときに、美容師に怒られる。
「わ〜伸びましたね……」
「カラーがプリン状態になっちゃってますね」
「1ヵ月に1回の頻度で来店するお客様がほとんどですよ!」
言葉の裏に 「だからマメに来いって言ったじゃん」が透けて見える。
その他、髪だけじゃない。 頭皮の乾燥、肌荒れ、髪のツヤなど、全部見られてる気がしてくる。
なんなら「ちゃんと生きてますか?」「生活が破綻していませんか?」と聞かれてるような気持ちになる。
美容院は、「清潔感ありますか?」の通過儀礼。
ただ伸びた髪を切りに来ただけなのに、なんだか心苦しくなってくる。
美容院が苦手な理由⑦
料金が高い
美容院に1回行くと、およそ数千円〜1万円はかかる。
財布が痛い。地味にテンションが下がる。
美容院が苦手……どうする?対策3つ
美容院がしんどい人に向けて、どうすればマシになるかの対策を3つ紹介する。
もちろん「正解」はないし、万人に効く魔法でもないけれど、 「美容院しんどい民」が少しでも消耗を減らすための選択肢として、参考になれば。効くかどうかは知らぬ。
- 修行と思って行く
- セルフカットをマスターする
- 1,000円カット系を使う
修行と思って行く(=心を無にする)
人は時に、逃げられぬ所へ出向かねばならぬ。
どうしても行かないといけないなら、もう考え方を変える。
「今日はオシャレ空間でリフレッシュ♪」じゃなく、
「今日は荒行をこなす日」
くらいの気持ちで行く。
会話も、待ち時間も、首が痛くても、「これもまた業」として受け入れる。
美容院=心の筋トレだと思えば多少マシになる。
終わったあとは「耐えた自分、えらい」で完結させよう。
美容院は、修行。
「今日は一つ、修行場へ赴く」と呟き、家を出ればよい。
セルフカットをマスターする(=戦わない選択)
美容院が合わないなら、戦わずに距離を置くのも手。
今はセルフカットの情報も道具もかなりそろっている。スキバサミ・鏡・バリカンがあれば、前髪くらいなら、意外となんとかなる。
部屋中に散らばる髪の毛はご愛敬。
最初は耳が削げるかもしれないけど、慣れてくると「これでいいじゃん」って思えてくる。
誰にも話しかけられないし、待ち時間ゼロ。
なにより、「美容院行かなきゃ…」というプレッシャーがなくなるのがデカい。
1,000円カット系を使う(カラーはセルフ)
1,000カットは神。髪の神。
「会話少なめ・時間短め・価格安め」の三種の神器がそろった選択肢。
1,000円カット(最近は1,200円〜1,500円)や10分美容院は、とにかくシンプル。
余計なサービスや接客がないので、「髪を切るだけ」が目的なら理にかなっている。
カラーは自分でやればOK。市販のセルフカラー剤もかなり進化していて、仕上がりも悪くない。
なんなら、もう、染めること自体をやめるのも良し。
美容にかける手間と気力を最小コストで回収する作戦。
美容院がつらい人ほど、1,000円カット系は相性がいい。
髪型に気をつかうより、自分の気力に気を使う
美容院が苦手な理由は、 「会話が苦手だから」じゃない。
「ちょっとしたストレス」が全部そろってる空間だから、疲れる。
無理して慣れる必要はなし。無理せず逃げて、自分のペースで向き合えばいい。
美容院に通ってなくても、人としての価値は保てると思う。たぶん。
そんなこんなで、髪型に気をつかうより、自分の気力に気を使いたい今日この頃です。